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「無二的人間」 山本空外著183 [無二的人間]

P363よりつづき
書は筆を使います。自分と相手という、その相手がこの場合筆です。この筆なら、誰でも同じように書けるというものではないのです。この筆で出るかすれも、にじみもある。この筆を生かしきっていくことが大事なのです。筆だけではありません。紙でも、各種各様であり、かすれぐあいやにじみぐあいを異にします。それにはまた墨のあじわいも加わって、それらをみな、それぞれに生かしきっていく綜合芸術の一点一画に書道の心が生動するのです。だから自分勝手をせず、筆で書くとき、筆が相手です。その筆を生かし、また紙や板に書くのなら、紙と板とはそれぞれカスレ、ニジミなど大ちがいですから、その紙や板が最も好むように、それに限るといった筆の使い方をして、はじめて書道文化なのです。こうして墨・硯のとり合わせも決まってくるのです。墨は金銀よりも尊いのです。それで私はいつでも墨は私がするのです。すり方によって、表現は何十通りもあってみな違ってくるのです。また硯によっても違います。
それを「無二」、つまり相手を生かすということです。



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