「無二的人間」 山本空外著１７５

P３５６よりつづき
私は、昭和九年二月に西洋哲学について学位論文を出しました。その折、西洋の現代から古代まで調べてみましたが西洋には書道という文化がない。
唯、用件があれば、記録しているのです。書道というものは芸術ですが、そういう芸術はないのです。何故ないのか。ない訳を知らないと西洋文化もよくわかりません。
ところが、東洋文化というのは書道文化を重視します。弘法大師から書道をのぞいたら、その文か価値は半減しないでしょうか。
大師の書が残っているから、悟った人だなということがわかるのです。
そこに東洋文化の面目がある。